いよいよグランプリファイナルが始まりますね。
毎年選手の演技を楽しみにしていますが、この時期は特に注目選手のインタビューや特集が多く放送される時期でもあります。
世界の第一線で活躍されるアスリートの発言や練習内容はものすごく興味深く、また多くの発見もあります。

今日はテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」の中で、羽生選手のルーティンに関して紹介していました。

●週に2日、試合を想定し、試合と同じ時間配分で通し練習を行う

これは羽生選手が体操の内村航平選手と沢山話を聞いた中からヒントを得たものだそう。
フィギュアスケートでは、出場選手を事前に決めた滑走順に6人ずつのグループに分けます。
そしてグループの演技開始前には6分間練習の時間が与えられています。各々の選手はこの6分間で身体を温めたり氷の感触を確かめたり、会場の雰囲気を確認したりしています。
羽生選手は週に2回、試合を想定してこの6分間練習からきっちり時間を計って通し練習をしているそうです。
週に2回というのは、おそらくショートプログラムで一日、フリープログラムで一日、ということでしょう。

●「練習ではできる4回転ジャンプが、本番で飛べないのはなぜだろう?」

私はクラリネットを吹いていますが、演奏会当日になると音が思うように出せなかったり指が上手く回らなかったり・・・、練習ではちゃんとできたのにどうして?と首をひねることがよくありました。
羽生選手だってやっぱり人間。世界の大舞台で連覇がかかるような場面では、練習で飛んでいたような内容のジャンプが出来なくなると悩んでいるのです。

例えば床に書かれている幅10cmのラインの上を歩くことは余裕でできると思いますが、高さ1mの平均台の上となると急にヨロヨロよろめいたり、前に進めなくなったよくり。
これはラインの幅が細いから難しいのではなく、高さが変化することによって自分の心理状態が変化し、「落ちたらどうしよう」などと「失敗することへの恐怖」が前面に出てくることが歩行に大きく影響するのだと考えます。

では練習でできることが本番でできない、とはどういう状況なのでしょう?
それは「練習は落ちても安全、やり直しのできる場所」、「本番は落ちたら怪我する、やり直しできない場所」と精神面でまったく別な環境に自分を置いてしまうことにあります。

リハーサルでとても自分の納得のいく演奏ができたとき、「あぁ、今日が本番だったらよかったのになぁ」と考えたことは一度や二度ではありません。
練習で吹いている「今」の自分をそのまま「本番当日」に持っていきたい!と何度願ったことでしょう。

しかし羽生選手は違います。
逆転の発想で、練習の自分を本番当日にもっていくのではなく、週に2回本番と同じ時間構成で再現することで、「本番当日」を練習に持ってきてしまったのです!!

本番と同じ構成で本番と同じ状況をイメージして、本番に必要な緊張感を高める。
そして本番と同じようにやり直しの利かないジャンプを飛ぶことを毎週繰り返すことで、本番のジャンプから不必要なプレッシャーを排除する効果が得られることでしょう。

グランプリファイナルや日本選手権、世界選手権など、今後の活躍から目が離せませんね!

この「本番を想定した練習」はロンドンでクラリネットの先生に提案された練習方法にも通じるものがありました。
それはまた次回書いていこうと思います。