カナダのCBC MUSIC(ラジオ局)に興味深い記事が掲載されていました。

http://www.cbcmusic.ca/posts/18039/musician-injuries-health-awareness-music-schools

The real reason musicians are dropping out of music schools – CBC Music

タイトルは「The real reason musicians are dropping out of music schools」。
多くの方が夢や希望を抱いて音楽大学へ進み卒業しそれぞれの活躍の場を見出していきますが、その一方で決して少なくない数の人たちが楽器を演奏することで身体に過剰な負担を課し、音楽活動の中断を余儀なくさせられています。
この記事によると、21歳のバイオリニストの女性はとても熱心かつ優秀な演奏家で大学1年生からユースオーケストラのソリストとして選ばれていたそうですが、この練習熱心さとソリストとしての練習の中で腕や肩を痛めていき、2年生になった時にはユースオーケストラへの参加を断念せざるを得なかったそうです。

2012年にオーストラリアで行われたリサーチでは、なんと84%のプロ演奏家が過去に何らかの怪我や痛みを経験しており、50%の人は今でも演奏中に痛みを感じているそうです。

実際、私もロンドンの学校にいるときに一人の男性クラリネット奏者と出会いました。
彼は身長180~185㎝位、中肉中背。筋肉隆々ではありませんがかといって細いわけでもなく、日本人から見たら十分しっかりとした身体つきに見えました。しかしながら彼はあまりに一生懸命クラリネットを練習するあまり、両腕の肘を壊し手術を受け、首からかけるストラップで負担を軽減しないとクラリネットを吹けない状態でした。
私自身クラリネットを練習する中で腱鞘炎の症状を発症し、よく手首に湿布を張ったりしていましたがそれでも、こんなに日本人からしたら恵まれた体格に見える大きな男性がクラリネット演奏で手術を受けなければならないほどに肘を痛めることが驚きでした。

記事によると、カナダでは最近こうした職業病ともいえる音楽家の演奏による怪我に対する認識が高まってきており、多くの音楽教室や音楽大学などで音楽家と健康問題に関連したカリキュラムの再構築が行われ始めているそうです。
グレン・グールド・プロフェッショナル・スクールや、マグル音楽大学、ウィルフレッド・ローリエ大学、メモリアル大学などカナダを代表する著名な学校ではアレクサンダーテクニークを始めとした身体意識を高めることのできるカリキュラムを導入しているそうですが、それでもまだ十分とは言えず、練習しすぎなど休息と活動ののバランスを取ることができていないなど問題を認識しているそうです。

この記事だけではカナダの音楽大学でのアレクサンダーテクニークの実施状況がどの程度の物かよくわかりません。何より音大生はより良い演奏をするべく音大に通っているわけで、練習・演奏・ステージ・コンクール・成績ととてつもない大きな刺激に囲まれた環境にさらされています。これほど大きな刺激に対する反応を学ぶには、もっと多くのアレクサンダー教師が必要なのかもしれません。

日本ではまだまだ無名なアレクサンダーテクニークですが、もし痛みを抱えて演奏している人がいたらぜひ一度立ち止まって、自分の身体と対話してみてください。