先日無事にロンドンより帰国しました。
やはり2年ぶりのロンドンはお気に入りのお店が閉店、ビルが一棟立て直し、などいろんなところで月日の流れを実感することになりました。
今回の旅の目的はアレクサンダーテクニークの勉強でしたが、せっかくなので今回のロンドン旅行全般を気の向くままに書いていこうかと思います。

=====前回の続き=====

それは地下鉄に乗っていたときのことです。

朝夕のロンドンの地下鉄は、やはり通勤通学の人で混雑します。でも日本のようにギュウギュウに電車に押し込める。。。なんて光景は見当たりません。

ではどうしているのか。

答えは簡単。地下鉄の改札につながる入り口を閉めてしまうのです!ロンドンの地下鉄は世界最古の地下鉄。車両もトンネルのサイズギリギリで、トンネルから電車が出てくるとき、押し出されれるように見えることから、ロンドンでは地下鉄の事をチューブと呼びます。エアコンをつける余裕も無いです。ですのでホームもそれほど広く設計されていないので、大勢だとホームから溢れてしまいます。それを防ぐために定期的に入口を閉めてしまいます。デパートが立ち並ぶロンドンの繁華街オックスフォードストリート駅周辺では、夕方になると地下鉄入口前の道路に地下に降りることのできない沢山の人を目にされることと思います。

では車内は?
こちらも日本のように無理に詰めて乗り合わせる、という文化はありません。ホームに沢山の人が待っているのに、車両の中程は空いていることがよくあります。日本人ならお約束のように「あぁ、あと5-6人は乗れるのにな」と考えてしまうようです。
座っている人もみんな結構好き勝手にしてて、日本人の感性からするとあまりお行儀よくは無いのですが、それでも紳士の国らしく、空席があればまず近くの女性に、たとえ自分が座っていたとしてもお年寄りにすぐ声をかけて席を譲る素敵な人が多いです。

この日も途中駅から乗ってきたお年寄りの女性に若い男性が席を譲りました。

「That’s so kind!」

譲ってもらった女性は笑顔で彼にこう言いました。その時ふと疑問に思ったのです、なぜ”you are so kind” ではなく、”that’s so kind”なのか?
私の英語力が乏しいという点、日本語の文章を直訳して英語を考える点、など私の語学力そのものの問題点もありますが、それはともかく両者の違いを考えてみます。

 

you are so kind

あなたはとても親切ですね

 

that’s so kind (it is so kind of you)

ご親切にありがとうございます
日本語ではthank youに近い意味なりますが、あなたが私にしてくれたその行為がとても親切ですね、と言っていることになります。

 

you are so kind. あなたは親切ですね。これは発言している人の素直な気持ちなのですが、この言葉を使うことで相手を「親切な人」という枠にはめてしまう行為なのかもしれません。この言葉を真正面から受けた人は、自分が親切な人でなければいけない、という変な重圧を課せられてしまうのかもしれません。あるいは、自分にはめられた親切な人というレッテルをぶち壊したいと変な破壊行為に及ぶ人もいるのかもしれません。

that is so kind (it is so kind of you). that is kind は主に話し言葉で使われる場合が多く、書き言葉ではit is very kind of you となるようです。(ちなみにvery の代わりに女の子言葉ではso がよく使われます)
(あなたの) その行為はとても親切ですね、という表現が日本語訳では親切にありがとうございますとなるようです。これはある人が選択をしたその行為が私にとって親切な行為だった、というだけで、直接的には相手の人柄そのものを評価していないことになります。
あなたは親切な人だ、といわれれば嫌な気になる人は少ないと思います。しかしながら、親切な人でいなければいけないとなると、段々その枠に縛られてしまう可能性がある。
例えばお年寄りに席を譲る。
いつも自分が元気でお年寄りに席を譲り続けられているうちは問題ないと思います。しかし今日の自分はお腹が痛い、今日の自分はお年寄りが立っていることに気づかなかった、様々な理由から席を譲れなかった。そうなると自分が不親切な人間と考えてしまうかもしれない。

席を譲るという親切な行為を取るかとらないか、自分で選択をすると考えられたらどうでしょうか。

今日の自分は体調が悪い、だから譲らないという行為を選択した。また明日体調がよくなれば再び席を譲ればいい。
どちらを選択してもそれは私という人間性を判断することではない…。

私はまだまだ言葉の使い方に対する意識が足りていないと日々痛感しています。自分の言いたかったこと、伝えたかったことが相手に伝わらないと落ち込むことばかり。何がより良い伝え方なのかがわからずにいます。でもこの電車の中のやり取りは一つのヒントとなりました。