昨日2017年7月23日、NHKにて「バイオリン 500年の物語」という番組が放送されました。

https://hh.pid.nhk.or.jp/pidh07/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20170723-31-22664

バイオリンの魅力を伝えるために名曲演奏を聴くだけではなく、バイオリンという楽器の構造などにも斬り込んだとても面白い番組でした。

番組中盤からは、バイオリンの最高峰ストラディバリウスの謎を、バイオリン制作の視点と音響工学の視点双方で協力して解明していく取り組みに興味津々。
バイオリン修理職人の久保田氏が数多くのオールドバイオリンを修理する中で見出した仮説を元に独自にバイオリンを制作。音響工学の観点からその音色を分析するもので、ストラディバリウスとモダンバイオリンの音響効果の違いを検証するためにバイオリン奏者のジェームズ・エーネスが演奏協力していました。

バイオリンに関しては、これまでの修理の経験から得た仮説を元に試作器で音響実験。しかしながらストラディバリウスとは異なる音の指向性。そこで古い文献に書いてあったことをヒントにさらに改良を加えたところ、作ったばかりの新作バイオリンにもかかわらずストラディバリウスととてもよく似た音の指向性を持つ楽器を制作することができたようです!ものすごい情熱と努力が実を結んだ瞬間です!!

そこまででも十分楽しんでいたのですが、さらに番組の終盤で中で私が特に気になったのは、バイオリンを弾くエーネスの右手の筋力測定を同時に行っていた点でした。

 

番組で紹介していた要点
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1. 演奏する際、音が出てからバイオリンの音量が上がるのに反して、エーネスの筋肉は脱力していく事。
2. 名手エーネスがモダンバイオリンを弾くと、音の指向性が異なるモダンバイオリンから何故かストラディバリウスと似たような音の指向性を示す波形が時折現れることがあったという事。
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1. に関しては演奏と脱力の関係が改めて明確になった点で、アレクサンダーテクニークを通じて無駄な緊張を止める、というアプローチが楽器演奏に役立つ事を認識できたと思います。

さらに興味深かったのは2.に関して。
エーネスのような名手が弾けばどんな楽器でもいい音がする、と言ってしまえば簡単です。

でももう少し突き詰めていくと、エーネスという一流の奏者がストラディバリウスという名器とともに演奏活動する中で、ストラディバリウスの魅力を最大限に引き出せる演奏スタイルが習慣となってエーネスの身体に組み込まれている、と考える事もできるのではないでしょうか?
ストラディバリウスの能力が最大限に発揮できる時に音がどんな指向性を持つのか、などが無意識レベルで身体の使い方が習慣化したエーネスの演奏能力は、たとえモダンバイオリンを演奏していたとしても常にストラディバリウスでの音の指向性を頭の中で再構築しているのでは?そのため、音の指向性が異なるモダンバイオリンであってもストラディバリウスのような音の指向性をもたらす事ができるのでは???

能力を最大限に引き出すとはどういう事なのか?
改めて考えさせられる面白い番組でした。
ぜひ再放送して欲しいです。。。。。