近年、日本でもコーチングという言葉を聞く機会が増えました。
これは自信を持って言えます。

コーチングは生徒のやる気を引き出すことに関してはの素晴らしいツールの一つです!

でもここでもう一つ考えて欲しいのです。
コーチングで本当に楽器が上手になるのでしょうか?
コーチングで本当にスポーツが上手くなるのでしょうか?

私の答えは「No」です。
コーチング「だけ」では楽器やスポーツは上手になりません。

ではコーチングは不必要なのか?
こちらも私の答えは「No」です。
素晴らしいコーチングスキルを持っている方は生徒達を輝く方向へ導いてくれるはずです。

でもコーチとの良い関係を気づいていくには、コーチという役割を私達が知る必要があります。

そもそものコーチングの言葉の意味は何なのでしょうか?
コーチング(Coarching)の元の単語、Coachは英語では馬車やバスなど人が移動するための乗りものの事を指します。
(その語源は馬車の部品などを作っていた村の名前、コチ(Kocs)に由来しているそう)

人間の移動手段が徒歩か馬などに直接跨って乗るしかなかった時代。
乗馬できない子供やお年寄り、着飾った貴婦人、たくさんの荷物などを乗せて遠くの町まで連れていってくれる馬車はとても画期的だったことでしょう。

18世紀に入り、学校で学ぶ生徒達の試験勉強のため、tutor(家庭教師のように一対一で教えてくれる人)を付ける人が出てきました。するとこのtutor達はとても短時間でかつ快適に、生徒たちを「試験合格」へと導いてくれました。
ここから「試験合格という目的地に連れていってくれる人」という意味でコーチという言葉が使われ始めたのだそうです。
やがてこの「コーチ」という言葉が教育の場のみならずにスポーツなどでも定着するようになりました。

ではコーチが出来ること、コーチの役割とは何でしょうか?

・生徒”自身”が求める場所・ゴールへたどり着けるよう導くこと
・生徒自身がみずから新しい学習を生み出すために何度も質問をしたり話を聞くこと
・コーチのためではなく、生徒自身が自分のために自分の足で学習を進めていくこと
・生徒自身の学習・成長・変化をサポートし、見届けること

そうなんです。コーチングの本来の意味は、コーチングを受けるみなさん一人一人が自分の目指しているゴール、目標を達成するためにみなさんに問いかけ、自分の強みに気づき、自分の必要としている学習を見出すためのサポートを行うのです。

最後に練習を、学習をするのはみなさん自身なのです!

ここで分かることはコーチは必ずしもその分野で大活躍した人である必要は無いということ。
世界一流のスポーツプレイヤーや世界一流の演奏家から盗める技術は沢山あります。
でもその技術は一流のプレイヤーや演奏家からしか習うことが出来ないわけではないのです。

ごくまれにですが、一流のプレイヤーなどは自分以外の人のことはわからないから教えられないという人もいます。
また、一流のプレイヤーと生徒自身の身体の違い、感覚の違いなどを把握していなければ、どんなに素晴らしい技術を習ったとしても生徒はそれを自分の技術として習得することは困難になったりします。

そうした一流の技術をどうやって生徒自身の身体や感覚に合うように取り込んでいくのか?
コーチ本来の役割はまさにここにあるのです!

では私達が楽器やスポーツなどの指導者を探すときに、どんなことに注意する必要があるのでしょうか?
理想を言えば、専門分野における技術水準がものすごく高く、一人一人のゴール・目標を個別に設定してくれて、さらに一人一人とじっくり話し合うことの出来る十分なレッスン時間を個別に用意していただける指導者を見つけることでしょう。

・・・。簡単ですか?
内容によっては、技術を教わるときにはもしかしたら先生一人に対して複数の生徒でもできるのかもしれません。
でもその教わった技術をどう咀嚼して自分の理解、自分の技術に落とし込むのか?
一人でできないことは無いと思いますが、やはりサポートしてくれる人、常に問いかけをしてくれる人がいてくれることで、学習の進捗状況が変わることでしょう。

なにより。
一人でできないことに向き合うことはとても辛い時もある。
先生に何度教わってもどうしてもできるようにならない。ゴールに向かいたいのに自信を失ってしまうときもある。
こんな時こそコーチングは強い味方になってくれます!

そう、コーチングおよびコーチは必ずしも楽器やスポーツの技術を習得している必要は無いのです。
コーチングやコーチに必要なのは、みなさん一人一人の話を聞いて支えること。

良い先生、良いコーチを探すときには、先生・コーチ本来の役目を基準にしてみてはいかがでしょうか?