プライマリーコントロールが働くと

私は長年クラリネットを吹いています。
若いころから何となく、「自分は30歳を超えてクラリネットを吹き続けることはできない」という漠然とした思いがありました。

クラリネットを吹いていて常に腱鞘炎やいろんな痛みと付き合ってきました。
2日練習を休むともう15分以上楽器を持つのが辛くなる、そんな自分に体力がないからだと腹筋背筋を課した時もありました。
それと同時に、クラリネットを引退してもできる楽器があるといいなぁと、バイオリンに興味を持ち出したのは20代後半からでした。

そしてバイオリンを始めたのですが、これがまた上手くいかない!
元々ピアノやクラリネットを演奏していたので楽譜は読めます。
そして絶対音感があるので、何となく指を押さえても何となく音程が合っている(あくまで何となく)…。
この状況なので、いわゆるきらきら星などはあっという間に音を並べることは出来ました。

問題は身体の作りでした。
私がそもそもアレクサンダーテクニークを受けるようになったきっかけの一つはやはり、自分の身体に対する違和感と疑問でした。

①まずは左手。
左手の指が指板に届くようにひねった形になるのですが、やはり大人から楽器を始めると関節が思うように動かない!
きっと本来であれば、肘からもっと廻旋させられるようになるのでしょうが、そんな動きが出来ません。それでも手を伸ばさないとG線という一番奥の弦まで指が届かない。

ここでおそらくですが、廻旋できない左肘の代わりに、肩を不必要に前に突き出していたようです。
そしてこの不必要な肩の前出しは、背中のひねりに繋がり、プライマリーコントロール働きにくい状態に。
簡単にいえば、側弯症に近い状態だったといえるでしょう。

②次に右手
いつも移弦するときに無意識にぴくっと右肩が動いていたそうです。
ある日先生に指摘され、先生が弓を先導して動かしてくださったのですが、先生の動きに合わせると肩を上下するたびに肩関節がゴリッゴリッとなんとも不愉快な音を立てるのです。
痛い?と聞かれれば、激痛が走るような痛みではないのですが、言いようのない気持ち悪さがただ残るような感じ。
先生も途中で私の方に手を置いてくださったのですが、移弦の旅に肩からきしむような動きを感じて驚かれてしまいました。

当時整体師の学校に通っていたバイオリン奏者の友人にも相談してみたのですが、その友人もただ頭をひねるばかりでなぜ私の方がそのようなゴリゴリときしむ動きをするのか、どうすればその軋みを解消できるのか、答えを出すことはできませんでした。

その後アレクサンダーテクニークに出会い、学校に入り、卒業し、それからはや5年以上。
残念ながら学校を卒業したら自分の身体が完璧に変わっているというものではありません。
それでもアレクサンダーテクニークを勉強することでただ地道に自分と向き合ってきました。

そして最近、自分の背中に以前よりももっとしなやかな動きが出てきたことを感じ久々にバイオリンを持ってみました。
強くプライマリーコントロールを意識し、楽器を構えることで自分の身体が楽器につられてしまうことのないよう、自分が自分の背骨に乗っていられるように、と…。

するとなんと!
楽器の音色が変わりました。

いままでバイオリンを弾くといつもフワフワした弾き方になり、雑音が多く入ると指摘を受けていました。
しかしながらプライマリーコントロールを意識した弾き方になると、雑音が格段に減り、また左手も楽に届くのです!

自分でもこの変化にとても驚きました。
今はまだ2-3分しかプライマリーコントロールを保つことが出来ません。
次の目標はこの時間を少しずつ伸ばしていくこと。

年齢は関係ない。気づいたときが勉強の時。
そう信じて続けていきます!

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