まだアレクサンダーテクニークを知らなかった頃の話しです。
クラリネットのレッスン中に指の事に関して先生から注意を受けました。

「運指の際、そんなにパタパタと指を跳ね上げないと楽器吹けない?」

先生はそういうと、クラリネットを吹いている私の指の上に手をかざしました。
私は「一生懸命」「頑張って」先生の手に当たらないように気を付けて音階を吹くのですが、気にすれば気にするほど、逆に指に力が入ってしまい、硬直し、先生の手に当たって焦ってしまいました。

私も中学から楽器を演奏していたので、知識としては「指に力を入れない、滑らかに動かす」ことは知っていましたし、自分では力が抜けていると思っていました。
でも実際に先生の演奏と自分の演奏を見比べてみると、先生は指が楽器に吸い付くように動いているのに対して、私の演奏はどうもパタパタとバタバタと動いているように見えるのです。

あれから6年。
ロンドンでアレクサンダーテクニークを受けている間は、それほど運指は意識していませんでしたが、ある日ふと鏡を見ながら演奏してみると、自分の指がパタパタしていないことに気づきました。

卵が先か、ニワトリが先か?
指の緊張を止めるのが先か、首の緊張を止めるのが先か?

なぜ突然首?と思われるかもしれませんが、クラリネットを演奏するうえで首の問題は切り離すことができません。
指を動かすには脳から指先へ信号を送らなければなりませんが、この信号の通り道である神経は首を通っているのです。ですので首に過度の緊張がかかっていると、神経が圧迫されうまく指示が通らないことでしょう。
ここで厄介なのは、吹う奏楽器は口で楽器と繋がっていることです。
クラリネットはマウスピースと呼ばれる部分を口に含み、前歯と下唇で加えています。 口が閉じていないと音が出ず、また長時間演奏するには長い時間口を閉じていなければなりません。 その過程で、過度の力で口を閉じようとして首を緊張させてしまうのです。

私の場合には、より滑らかな、よりスムーズな運指を目指すには、指だけでなく身体全体で無駄な緊張がないかを考えていけるようになったことで結果的に指のパタパタ癖が出なくなっていました。