管楽器奏者にとって「タンギング」は避けることのできない課題の一つ。

私は中学・高校と吹奏楽でクラリネットを演奏していました。残念ながらその間にプロのクラリネット奏者の指導を受けたことはわずか数日。クラリネットの部員自体12〜15人の大所帯ですから、本当に基本的な話がほとんどで個別アドバイスは貰えたことはありませんでした。

そんな私が初めてクラリネットで個人レッスンを受けたのは大学2年生の秋だったかしら。先生と一対一で向き合って音を出すだけでも緊張!!

一通り音階など吹いた上で真っ先に取り掛かったことは「タンギング」の練習でした。

私は吹奏楽の時代に「スタッカートはお腹で切る」と習った記憶がありました。なまじお腹の動きが良かった私(当時は腹式呼吸とはお腹を膨らませることであり、多くの同級生がお腹が動かなかったのです)。おそらく調子に乗ってお腹を動かしていたのでしょう、いつの間にかスタッカートのみならず普通のタンギングでさえもお腹が動かすクセが付いていたようです。

・息を入れる前に舌をリードにつけておく
・音を止める時は舌をリードにつけて音を止める

今考えればあまりに当たり前でシンプルなこの事を治すのに、時間がたっぷりあってほぼ毎日練習していた大学生の時で約2ヶ月くらいはかかっていたような気がします。

 

 

そしてつい先日の事ですが、縁あってご一緒することになったオーボエ奏者と一緒に練習していたときのことです。曲目は軽快に速いテンポでタンギングを入れていく必要のある曲でした。
休憩時間になり、アレクサンダーテクニークの話題になったので少しだけ「首が自由で背中に乗るんだよ~」とアレクサンダーテクニークの説明とちょっとだけハンズオンを進めていっている中で、彼女の音色が反応良くどんどん変わっていき、周りの人も興味津々。

音色が安定してきたところで先ほどのタンギングの曲を吹いてみて?とお願いしたところ途端に身体が硬くなり、前かがみに背中を丸めようと動き始めました。でもそれと同時にもう何かを理解していた彼女は私の手が首に添えられていることにもきちんと反応してそれ以上無理にいつものやり方にこだわることもなく手の中に居続けようとしてくれました。

その結果。。。「えぇ~、タンギングできない、どうやればいいの?(笑)」

実に素晴らしい言葉だと思います!私だったらきっと「手が首にあると邪魔でタンギングできません」なんて言ってしまったかもしれません(汗)

その後「タンギングだから、舌だけ使ってみて」と伝えたところ激変!
本人からも「こんなに軽く吹けるんですね~♪」といっていただけました。

何が起きていたかと言えば、以前の私と同様、早いタンギング全てにお腹を動かしていたのです。
タンギング全てをお腹で切ろうとすれば、その振動が身体全体に伝わります。

実際、彼女もお腹で切ることで

楽器を支えている腕がブレる
→腕がぶれれば楽器がブレ
→楽器がブレればアンブッシュアもブレ
→アンブッシュアがブレれば音もぶれる

という循環に陥っていたのではないでしょうか?

実際、とても素敵な音色の上手なオーボエ奏者ですので今までのやり方でも十分演奏出来ることでしょう。また若くてまだまだ元気あふれる方なのでちょっとした力加減でそうしたブレを止めることができるのかもしれません。

しかし彼女の口から出た「軽く吹ける」という言葉は、逆を言えば今までそれだけ力を入れて楽器を吹いていたことに気がついたからこそ。

タンギングが上手くいかないなぁと悩んでいる方、ぜひ一度「タンギング」の意味を考えてみてください!