王立演劇学校で行われるアレクサンダーテクニークの授業
英国ドラマを多数放送しているAXNミステリー。
そのドキュメンタリー番組の一つ「英国男優のすべて」(英国男優の作り方) が明日3月3日(金) 22:00より放送されます。
番組ナビゲーターは劇作家・演出家の鴻上尚史氏。ロンドン・ギルドホールスクールに留学経験もある鴻上氏がイギリスでの俳優養成・育成システムを紹介しています。
鴻上氏が「東大」と例える王立演劇学校(RADA)。
ここで時に競争倍率100倍もの狭き門をくぐったわずか28名の学生が演劇のメソッドや発声法に加え、アレクサンダーテクニークもカリキュラムの一つとして2年間みっちりとトレーニングを受けます。
もちろんアレクサンダーテクニークはRADAだけで取り入れられているわけではありません。鴻上氏が留学していたギルドホールスクールを始め多くの演劇学校にて授業の一環としてアレクサンダーテクニークを取り入れています。
番組内にて鴻上氏は「オーディエンス」の語源について語っておられました。
シェークスピアを上演するグローブ座は「出ベソ型」とも呼ばれる観客席に飛び出した形状のステージ。そのため観客席によっては俳優の背中や側面のみで表情をうかがい知ることができない。また天井もなく電気による照明もない時代。役者はより声による表現で芝居を展開させてく技量を求められていた時代。グローブ座に集まったお客はみんな芝居をに耳を傾け楽しんでいたので、音を聴く人という意味で「オーディエンス」という言葉になったそうです。興味深いですね。
しかし天井もなく表情も見えづらい中で喜怒哀楽を言葉に乗せ客席の隅々まで声を届けるには、俳優自身が自分の身体をどう使うか意識的になる必要が出てきます。情感たっぷりに叫んでも客席を意識できなければセリフの意味が届かない。かといってセリフにこだわって感情表現が不足しても情景が伝わらない。
役者を志す方にとってアレクサンダーテクニークを学ぶということは、自身の不必要な緊張に気づきやめていくことに加え、ステージ・観客・ホールなどの空間全体を認識し、自身とその空間とのコミュニケーションを考える手助けになることでしょう。
役者を目指している人はぜひ一度番組をご覧になってみてください。