子供達の物の見方と可能性
2017年8月に行われた、品川ジュニアフィルハーモニーオーケストラの「第5回ジュニアオーケストラ入門」に、演奏サポーターとして参加してきました。
品川ジュニアフィルハーモニーオーケストラは主に品川区に住む小学生・中学生を中心に構成されたジュニアオーケストラです。
ここの団体のとてもユニークな取り組みの一つとして「演奏サポーター」制度があります。
一般的なアマチュアオーケストラの場合、指揮者の他に、弦楽器トレーナー、管楽器トレーナーという形でプロの先生をお呼びして練習を見ていただいています。プロの方による指導は音楽的にみると貴重なアドバイスがいただけてとても有意義な練習を行うことが出来ます。この品川ジュニアオケにも専属トレーナーの先生が分奏などを指導してくださり、音楽的にかなり充実した練習時間を過ごすことが出来ます。
しかしジュニアオケですので、オーボエやファゴット、コントラバスなど一部の楽器は子供の演奏者がいないため楽曲が成立しなかったり、まだ楽器を初めて3-4年で指使いとかちょっとした演奏のコツなどがわからない、というケースも多々あり。
そのため、すべてのパートに「演奏サポーター」という形で大人が演奏に混ざります。
今回、クラリネットパートには中学生と小学生の二人が参加。
私も演奏サポーターとして一緒に楽器を吹いていたのですが、どうしても楽器を演奏するその姿勢も気になります。
特に小学生の子はまだ身長が伸びる前。小さな体に大人と同サイズのクラリネットを持ち、足を投げ出して背中を丸めて吹いてしまうと、楽器を安定させることもできないので音が鳴り切りません。
そこでほんの少し首に手を当てて、足をちゃんと地面につけて吹くんだよ、と言ってあげると、するする~と上に向かって伸びやかになり、音色も安定しました!
近くで親御さんがその様子を見ていらしたのですが、やはり日頃の姿勢がとても気になっていたそうで、きれいに伸びやかに座っているお子様を見てとても喜んでくださいました。
でも、変化が早いということは戻るのも早いもの。
一週間後にはまた元の足を投げ出した姿勢でつい練習してしまっています。
そこで彼の吹いている姿を写真に撮ってみてもらったところ、一言。
「頭が落ちてる!」
この場のメインは演奏なので、私はアレクサンダーテクニーク的な表現はほとんど使っておりません。
子供にもちょっと手を当てて足をつけるようにという話をしましたが、首を自由にとか頭の位置とかの説明はしていません。
なのに子供から頭が落ちている、という言葉が飛び出してきてびっくりしました。
子供は本当に見たものをそのままとらえています。
そして全てを自分の体験としてそのままとらえることが出来る。
先入観がないというべきなのか、素直というべきなのか。
子供の物の見方とその可能性に驚嘆すると同時に、子供のように学習するという言葉の意味を子供たちから学ばせていただきました。