二胡とアレクサンダーテクニーク
◆先日は二胡奏者の方とアレクサンダーテクニークのレッスンをさせていただきました。◆
私の中で二胡というと、ちょっと古いのかもしれないですが「女子十二楽坊」の演奏を聴いて衝撃を受けました。
それまではとても哀愁や郷愁の思いを募らせるような、また高音域は今でいうまるで泣いているかのように心を揺さぶられる音色が映画「ラストエンペラー」のような雄大な旋律と会うと思い込んでいたので、「女子十二楽坊」のポップでリズミカルなサウンドにワクワクしたものです。
でもなかなか身近で演奏される方はいなくて、生の二胡サウンドはなかなか聴くことがありませんでした。
そんな私にとってちょっと憧れの二胡の演奏を特等席で聴かせていただける機会です!
アレクサンダーテクニークのレッスンを行っているうえで目の前で奏でられる音楽と一緒に過ごせる、とても幸せな時間。。。
本日お越しいただいた生徒さんが実際に二胡を出していただき、簡単に二胡の仕組みや楽器の奏法をお伺いしたのちに演奏していただきました。
◇二胡の仕組み
ご存じの方も多いかと思いますが、二胡は中国の弦楽器です。ニシキヘビの皮が張られた筒型の胴体から細く長い棹が上方向にのびており、その手前に二本の弦が張られています。
バイオリンなどは弓と楽器は別々で、右手に弓を持ち、バイオリンの上面に張られた弦を上から擦ることで音を出しますが、なんと二胡は弦と弦の間に弓の毛が通されています。そのため、楽器本体と弓が離れることはありません。
バイオリンの場合は右手の角度などで4本ある弦を行ったり来たりしますが、二胡の場合は、右手の指先で弓の毛を下げたり上げたりすることで2本の弦を行ったり来たりするそうです。
◇二胡の構え方
バイオリンの場合は楽器を顎の下に構えますが、二胡の場合は、左足の付け根に置くだけだそうです。
◇実際に弾いていただきました
まずはいつも通り演奏していただきました。
本日の生徒さんはとても身体に対する意識が高く、日頃からヨガなども取り入れていらっしゃるそうですが、それでも演奏中、特に早いパッセージなどを演奏する部分に差し掛かると途端に身体中に力が入り、肩凝りなどにお悩みだったそうです。
「力を抜けばいい、とは頭ではわかっているのですが・・・」
余計な力を抜けばいい、頭で分かっていてもなかなか思う通りに行かない事が多い難しい課題です。
それにしても「余計な力を抜く」という言葉、西洋の楽器・東洋の楽器、音楽・スポーツなど、分野を問わず必ず聞かれる言葉です。
私達人間が自分の身体を使って行うアクティビティ(活動)においては、どんな内容であったとしても「余計な力を抜く」ことがからなず共通するようです。
こちらが最初に演奏いただいたお写真です。
次に、演奏をしていただきながら少しずつハンズオンをしていきました。
しばらくすると生徒さんのお身体と私の手がコミュニケーションを取り始めます。
するとどこかの時点でフッと生徒さんのお身体が私の手に呼応してくださる瞬間がありました。
すると途端に二胡の音に深みが増してきたのです!
生徒さん自身も自分の身体の変化、腕や肩が軽く感じたと同時に楽器の音色も変化が起きたことに気づかれたそうです。
◇通常レッスンの後、再度演奏
その後、いったん楽器を離れ、通常のチェア&ライダウンワークを行い、再び楽器を演奏していただきました。
その時のお写真がこちらです。
見比べていただいていかがでしょうか?
生徒さんからは、レッスン前は窮屈そうに弾いているけれど、レッスン後は広く弾いているように見える、とご感想をいただきました。
正面の写真を見比べると、楽器の置き方に大きな違いがあるように見受けられます。
レッスン前はまるで楽器を落とさないか不安かのように楽器を股関節に押し付け、また両方の足を硬く閉じることで身体全体で楽器を身体にとどめようとしているように見えます。
しかしレッスン後はとても楽に楽器を身体に置いているだけ、身体も楽器を支え棟とするのではなくただ自然に座っているように見えますが、こうすることで楽器にかけられていたいた無駄な圧力が軽減され、楽器本体が伸び伸びとより深くなることが出来るようになったのではないでしょうか。
横からの写真を見比べると頭の位置からくる背中の緊張、および左手の緊張、また腰付近にも大きな違いがあるように感じます。
レッスン前はやや頭が前に押し出されることで首や左手に余分な負荷(緊張)がかかっているように見えます。
レッスン後は頭の位置が首の骨の上にバランスよく乗る状態になることで、背中も伸びやかになりまた左手の筋緊張が軽減しているように見えます。
イスに座る位置も、レッスン後は自然に座骨からバランスよく椅子に座っていらっしゃることで、背中のS字カーブが自然の美しさを取り戻しているように見えることでしょう。
◇体験後の感想をいただきました
生徒さんからは下記のような体験後の感想をいただきました。
手を当てていただいてふわっと身体が緩む感覚は不思議な感じでした!」